フリッタータFrittata レシピ
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フリッタータは、溶いた卵に野菜やチーズを混ぜ込み、フライパンで平たく丸く焼くイタリアの卵料理です。折りたたまずに両面を焼き、ケーキのように切り分けて食べます。日本のレシピでは「イタリア風オムレツ」と紹介されることもあります。
ここでは、イタリアの家庭でおなじみのズッキーニのフリッタータを焼きます。ズッキーニは先にオリーブオイルで炒めて水分を飛ばし、卵液にはすりおろしたパルミジャーノ・レッジャーノを混ぜます。ふたをして弱火でじっくり焼き、皿を使ってひっくり返します。
フリッタータとは
イタリア語のつづりは「frittata」です。「油で揚げる・焼く」という意味の動詞フリッジェレ(friggere)から来た言葉で、イタリアの料理メディア、ディッサポーレも名前の由来をこの動詞としています。英語の語源辞典エティモンラインによると、フリッジェレの過去分詞フリット(fritto、揚げた・焼いた)から来た語で、フリッジェレはラテン語の「炒る・揚げる」という動詞にさかのぼり、英語の fry(揚げる)と同じ語源です。英語版ウィキペディアは、もとはフライパンで卵を焼く料理を広く指す言葉だったとしています。
15世紀の料理書にも
スイスのイタリア語圏の公共放送RSIの記事によると、15世紀半ばの料理人マエストロ・マルティーノ(現在のスイス・ティチーノ州の出身)が書いた料理書『料理術の書(Libro de arte coquinaria)』には、香草のフリッタータや卵のフリッタータが載っています。それまで貴族の宴会にはあまり出なかった卵や野菜の料理を取り上げた点が、新しかったとされています。
いつ、どこで食べるか
イタリアでは、フリッタータは昼や夜の主菜(セコンド・ピアット)としてよく食卓に出ます。小さな角切りにして前菜やビュッフェに並べたり、冷めたものをパンにはさんでパニーノにしたりもします。温かくても、室温に冷めても食べられるので、ピクニックやお弁当にもよく使われます。
具は、季節の野菜や香草、ハムやベーコン、チーズなど、家にあるもので変わります。イタリアの料理メディア、ディッサポーレは、アスパラガス、アーティチョーク、そら豆、ポロねぎ、じゃがいも、野草など、畑のものはほとんど何でも合うとしています。
オムレツ、トルティージャとの違い
フランスのオムレツは、中を半熟のとろりとした状態に残して、折りたたんで仕上げます。具は、焼いた卵の上にのせてから包むのが一般的です。フリッタータは、具を生の卵液に混ぜ込んでから焼き、折りたたまずに平らなまま、弱い火で時間をかけて両面に火を通します。片面を焼いたあとは、皿やふたで丸ごとひっくり返すか、オーブンやグリルで上面を固めます。
スペインのトルティージャ・デ・パタタスも、卵と具を混ぜて丸く焼き、皿で返す点はフリッタータと同じです。ただし、たっぷりのオリーブオイルで煮るように柔らかくしたじゃがいもが主役で、ディッサポーレはフリッタータより厚く、卵も多く使うものとしています。
ズッキーニのフリッタータを基本に
イタリアの大手レシピサイト、ジャッロ・ザッフェラーノのブログで読んだズッキーニのフリッタータ4件は、4人分で卵4〜6個に、ズッキーニ2〜3本を使っていました(重さを書いている2件では250gと600g)。4件のうち3件は玉ねぎを一緒に炒め、2件はパルミジャーノ・レッジャーノを卵液に混ぜます。イタリアの料理メディア、ディッサポーレのレシピも、4人分でズッキーニ2本を炒め、パルミジャーノ50gを卵液に混ぜます(こちらは卵8個に生クリームを加え、返さずにふたをして焼き上げます)。この記事では、直径24cmのフライパンに卵6個とズッキーニ400gで、厚さ2cmほどに焼きます。卵液には牛乳を入れるレシピもありますが、ここでは卵とチーズだけにしました。
フリッタータのレシピ:材料(直径24cmのフライパン1枚(4人分・8切れ))
準備 20分(炒めた野菜を冷ます10分を含む)調理 30分難しさ ふつう
野菜を炒める
- ズッキーニ2本(約400g)
- 玉ねぎ1/2個(約100g)
- エクストラバージン・オリーブオイル(楽天)30ml(大さじ2)
- 塩2g(小さじ1/3)
卵液
焼く
- エクストラバージン・オリーブオイル(楽天)15ml(大さじ1)
作り方
野菜を切る
ズッキーニは両端を落とし、厚さ2〜3mmの輪切りにする(太いものは縦半分に切ってから半月切り)。玉ねぎは縦半分に切り、繊維に沿って厚さ2mmほどの薄切りにする。バジルの葉は洗って水気をふく。
玉ねぎを炒める
直径24cmのフライパンにオリーブオイル30mlと玉ねぎを入れて中火にかける。玉ねぎがジュッと音を立てはじめたら弱めの中火にし、ときどき混ぜながら3〜4分、しんなりして透き通るまで炒める。焦げ色がつきはじめたら火を弱める。
ズッキーニを炒めて冷ます
ズッキーニと塩2gを加えて中火にし、ときどき返しながら8〜10分炒める。ズッキーニが柔らかくなり、ところどころ薄く焼き色がつき、フライパンの底に水分が残っていなければよい。水分が出ているときは、なくなるまで炒め続ける。皿に広げ、手で触れられる温かさになるまで10分ほど冷ます。フライパンはキッチンペーパーでふいておく。
卵液を作る
ボウルに全卵6個、塩2g、黒こしょう0.5gを入れ、泡立て器かフォークで白身のかたまりがなくなるまで混ぜる。泡立てなくてよい。パルミジャーノ50gを加えて混ぜ、冷ましたズッキーニと玉ねぎ、手でちぎったバジルの葉10枚を加えて、具が全体に行きわたるまで混ぜる。
ふたをして弱火で焼く
フライパンにオリーブオイル15mlを入れて中火で1分ほど温め、フライパンを傾けて側面まで油をなじませる。卵液を1滴落としてすぐに縁から白く固まれば、卵液を一度に流し入れ、具が均一になるようにならす。最初の1分は、ゴムべらで縁を数か所持ち上げて、表面の生の卵液を下に流し込む。ふたをして弱火にし、8〜12分焼く。縁から2〜3cmがしっかり固まり、表面の中央はまだ柔らかくても流れない状態で、フライパンをゆするとフリッタータ全体がひとかたまりですべれば返しどき。縁をゴムべらで持ち上げて、底がきつね色になっていることを確かめる。
皿を使ってひっくり返す
火を止め、流しの上で行う。フライパンをゆすっても動かないときは、ゴムべらを縁から底へ差し入れて一周はがす。両手に鍋つかみをはめ、平皿を裏返してフライパンにかぶせ、片手で皿の中央をしっかり押さえ、もう片方の手でフライパンの柄を持つ。ためらわずに一気に手首を返して、フライパンと皿の上下を入れ替える。フライパンを持ち上げ、皿にフリッタータが移ったことを確かめる。フライパンを火に戻し、焼き色のついた面を上にして、皿からすべらせるようにフライパンへ戻す。ふたで返すときは、平らなふたを皿の代わりにかぶせ、つまみを握って同じように返す。
裏面を焼いて休ませる
ふたをせずに弱めの中火で3〜5分焼く。縁を持ち上げて裏面もきつね色になり、中央をフライ返しの背で軽く押すと弾力があって卵液がにじみ出ず、竹串を中央に刺して抜いたときに生の卵液がついてこなければ焼き上がり。返すのに使った皿ではなく、清潔な盛りつけ用の皿にすべらせて取り出し、5分おいてから8等分に切る。
切り分けて、パンとサラダを添えて昼食に。冷めたものをパンにはさめば、持ち運べる軽食になります。飲み物は、炭酸水など、すっきりしたものを添えます。
料理科学:弱火で、ふたをしてじっくり焼く理由
卵のたんぱく質は、熱しすぎると水を押し出す
卵のたんぱく質は、種類によって固まる温度が違います。卵白は60℃を少し超えたあたりから固まりはじめ、卵黄は65〜70℃前後でとろみがつきます。溶いた全卵は70℃前後でとろりとし、80℃を超えると締まって固くなります。さらに加熱を続けると、たんぱく質どうしが強く結びつきすぎて、閉じ込めていた水分を押し出します。卵がぼそぼそになったり、焼いたあとに水がにじみ出たりするのはこのためです。
フリッタータは厚さが2cmほどあり、熱はフライパンの底からしか伝わりません。強い火で焼くと、中心が固まるより先に、底の卵が固くなりすぎて焦げはじめます。ジャッロ・ザッフェラーノのブログのレシピでも、火を強くしすぎると中に火が通る前に表面が色づいてしまう、と注意しています。手順5で弱火にして8〜12分かけるのは、底を焦がさずに、熱をゆっくり中心まで届けるためです。
ふたをするのは、フライパンの中に熱い蒸気をこもらせて、上からも卵を温めるためです。表面の卵液がほぼ固まった状態で返せるので、返すときに卵液が流れ出しにくくなります。焼きはじめに縁を持ち上げて生の卵液を下に流すのも、全体の火の通りをそろえるためです。
ズッキーニの水分を先に飛ばし、冷ましてから混ぜる
ズッキーニは大部分が水分です。生のまま、または炒め方が足りないまま卵液に入れると、焼いているあいだに水分が出て、まわりの卵が固まりにくくなり、べちゃっとした仕上がりになります。ひっくり返すときに割れる原因にもなります。手順3でフライパンの底に水分が残らなくなるまで炒めるのはそのためです。ディッサポーレも、フリッタータでは水分を避けるよう、具の水気をよく切ることを勧めています。
炒めた野菜を冷ましてから卵液に混ぜるのは、熱い具に触れた卵液がその場で固まって、ところどころにかたまりができるのを防ぐためです。ディッサポーレも、加熱したばかりの野菜は冷ましてから卵と合わせるよう書いています。
料理科学:パルミジャーノの役割
パルミジャーノ・レッジャーノは、牛乳から作り、長いあいだ熟成させる硬いチーズです。卵液に混ぜると、まずは味つけの役目をします。チーズ自体に塩気があり、熟成のあいだにたんぱく質が分解されてできたアミノ酸(うま味のもとになるグルタミン酸など)を多く含むので、卵に深いうま味が加わります。この記事で卵液の塩を2gに控えているのは、チーズの塩気が加わるからです。
もう一つは、溶け方です。料理科学者のハロルド・マギーによると、長く熟成させた硬いチーズは、たんぱく質が細かく分解されているため、溶けても糸を引きにくいとされています。すりおろしたパルミジャーノは卵液の中に散らばり、焼くと卵全体になじみます。モッツァレラのような糸を引くチーズを角切りにして入れると、そこだけ糸を引くかたまりになり、食感が変わります。イタリアのレシピでも、パルミジャーノはすりおろして卵液に混ぜます。
安全のために
- ひっくり返すときは、必ず火を止め、鍋つかみを使って流しの上で行います。フライパンも皿も熱くなっています。
- この記事の作り方では、中心まで火を通します。竹串を中央に刺して、生の卵液がついてこないことを確かめてください。妊娠中の人、高齢の人、小さな子ども、免疫の弱い人が食べるときは、とくにしっかり確かめます。
- 返すのに使った皿には生の卵液がついています。盛りつけには別の清潔な皿を使ってください。
地域による違い
玉ねぎのフリッタータ(フリッタータ・ディ・チポッレ)
ズッキーニと並ぶ定番が、玉ねぎだけで作るフリッタータです。ディッサポーレは、そのルーツをトスカーナ、ラツィオ、カンパーニアなどイタリアの中部から南部の家庭料理としています。イタリアの喜劇映画の主人公ファントッツィとも結びつけて語られる、なじみ深い味です。
ジャッロ・ザッフェラーノのブログのレシピは、卵4個に黄玉ねぎ300gを薄切りにしてオリーブオイルで柔らかく炒め、その上に溶いた卵を流して焼きます。ディッサポーレのレシピは、玉ねぎをバターでふたをしてごく弱火で蒸し煮にし、最後に砂糖小さじ1を加えて色づけ、甘く香ばしくします。この記事の分量で作るときは、ズッキーニと玉ねぎの代わりに玉ねぎ300gを薄切りにし、オリーブオイル30mlと塩2gでふたをしてごく弱火で15〜20分、色づけずに柔らかくなるまで火を通してから、手順4へ進みます。どちらのレシピも時間は書いていないので、15〜20分はこの記事の目安です。玉ねぎの量や火力で変わるので、柔らかさで見極めます。
パスタのフリッタータ(ナポリ)
ナポリには、ゆでたパスタを卵でとじて焼く、フリッタータ・ディ・マッケローニがあります。ディッサポーレによると、もとは残ったパスタを使い切るための庶民の料理で、ナポリの言葉の「マッカルーネ」はパスタ全般を指すので、マカロニに限りません。伝統的なものはトマトソースを使わず、卵とチーズで作ります。いまでは郊外への遠出や、持っていくお弁当の定番で、そのためにパスタを多めにゆでる家庭も多いといいます。ナポリの揚げ物や総菜の店では、1人分の大きさで売られています。
ディッサポーレのレシピは、パスタ300gを表示より2分短くゆで、卵4個、パルミジャーノ50g、プロヴォラ(燻製したものもある、モッツァレラの仲間のチーズ)100g、ナポリのサラミ100gと混ぜて、弱火で片面5分ずつ焼きます。英語版ウィキペディアが引くアメリカの料理研究家アーサー・シュワルツは、ナポリのフリッタータはいつも薄いとしていますが、ディッサポーレは決まりはなく、薄く焼けばカリッと、4cmほどに厚く焼けば柔らかくなるとしています。
オーブンで仕上げる
ディッサポーレは、ひっくり返さない方法として、底をコンロで固めてから、フライパンごと180〜200℃のオーブンに入れるか、グリルで数分焼いて上面を固める方法を紹介しています。持ち手が樹脂や木のフライパンはオーブンに入れられないので、この方法は鉄のフライパンなど、オーブンに入れられるものを使うときだけにします。
手に入りにくい材料の代用
この料理の材料は、日本のスーパーでもそろいます。
- パルミジャーノ・レッジャーノ:日本でも塊で売られています。イタリアのレシピでは、グラナ・パダーノ(同じく牛乳の硬いチーズで、熟成が短めのもの)や、ペコリーノ・ロマーノ(羊乳の硬いチーズ)を代わりに使うものもあります。ペコリーノ・ロマーノは塩気が強いので、卵液の塩を1gに減らします(この記事の目安です)。筒入りの粉チーズでも作れますが、香りとうま味は弱くなります。
- バジル:ズッキーニのフリッタータには、ミントを使うイタリアのレシピもあります。ミントなら葉10枚(約2g)を刻んで使います。イタリアンパセリでも合います。
- ズッキーニ:日本で手に入りやすい緑のズッキーニで作れます。イタリアでは、皮が薄い緑色の白ズッキーニ(ズッキーナ・ビアンカ)を使うこともあります。
失敗したときは
- 水っぽく、べちゃっとする:手順3でズッキーニの水分を飛ばしきれていませんでした。フライパンの底に水分が残らなくなるまで炒めます。
- 底が焦げたのに、中が生:火が強すぎました。手順5は弱火にして、ふたをして焼きます。表面がなかなか固まらないときは、火を強めるのではなく、焼く時間をのばします。
- ひっくり返すときに割れる・崩れる:返すのが早すぎて、底と縁が固まっていなかったのが主な原因です。フライパンをゆすって全体がひとかたまりですべるまで待ちます。フライパンの表面が傷んでいて、底がくっついていることもあります。
- 卵がぼそぼそになり、水がにじみ出る:焼きすぎです。裏面は3〜5分を目安に、竹串に生の卵液がつかなくなったら取り出します。取り出したあとも、余熱で火が入ります。
保存
焼きたてか、室温に冷めたくらいが食べごろです。
- 冷蔵:冷めたらラップで包むか保存容器に入れて、2日以内に食べます。冷たいまま食べるか、フライパンや電子レンジで温め直します。パンにはさんでパニーノにしてもおいしく食べられます。
- 冷凍:勧めません。ディッサポーレは、解凍すると卵がスポンジのような食感になるとして、冷凍しないよう書いています。
イタリアのほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- cucina preDiletta(GialloZafferano Blog)「Frittata di zucchine bianche」(イタリア語)
- Allacciate il grembiule!(GialloZafferano Blog)「Frittata di zucchine e basilico ricetta facile con trucco」(イタリア語)
- In cucina con Zia Debby(GialloZafferano Blog)「Frittata di zucchine」(イタリア語)
- Forno e fornelli(GialloZafferano Blog)「Frittata di zucchine」(イタリア語)
- Vale cucina e fantasia(GialloZafferano Blog)「Frittata con le cipolle ricetta facile e velocissima」(イタリア語)
- Dissapore「Frittata di zucchine, la ricetta per farla morbida in padella」(イタリア語)
- Dissapore「14 regole e trucchi per una frittata perfetta」(イタリア語)
- Dissapore「Frittata, la ricetta base」(イタリア語)
- Dissapore「Frittata di cipolle, la ricetta veloce e saporita」(イタリア語)
- Dissapore「Frittata di maccheroni, la ricetta di recupero più famosa della cucina napoletana」(イタリア語)
- RSI(スイス・イタリア語放送)「Libro de arte coquinaria」(イタリア語)
- Online Etymology Dictionary「frittata」(英語)
- Wikipedia「Frittata」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。